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【インタビュー】人と犬がつながる場所・キドックスカフェ



茨城エリアの保護犬の社会化・里親探しと若者の自立支援を行う「保護犬と出会えるカフェ・KIDOGS CAFE(キドックスカフェ)」。スタッフの岡本さんへ取材して見えてきたのは、人と犬と、垣根なく接するあたたかなやさしさだ。






垣根のないつながりを目指して



保護犬活動と聞くと、どこか人里離れた場所での活動を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。しかし、保護犬カフェは人間の生活が根ざした場所にお店を構えることも多く、キドックスカフェが活動を行うのは茨城県の郊外。車が行き交うロードサイドを少し小道に入ったところにお店がある。




「私たちは犬の保護活動と若者の自立支援の2つを行っていて、人と動物が共生する社会を目指しています。保護犬を介して、子どもから高齢者、私たちの施設で活動する自立を目指す若者たちが垣根なく一緒のところでコミュニーケーションをとれる社会。その最初の入り口はみんなに近い場所にあった方がいい、そういう思いでこの場所で活動しています。」



初めてカフェに足を踏み入れたとき、ほっこりとした安心感に浸ったのを覚えている。それはこの場所が共生への第一歩となる優しいつながりに包まれているからなのだろう。






カフェと支援の両立


カフェの運営と保護犬・若者の支援という3本柱での活動、それぞれの両立という点で難しさはないのだろうか。


「気をつけないといけないのが、この活動が犬とここで働く若者たち双方にとってメリットがないといけないことを忘れないこと。犬で言えば、保護犬カフェが人気だからといって、この子たちを絶対酷使してはいけないと思っています。保護犬たちは寝泊まりの場である土浦のシェルターから通っていて、毎日ここにくることで疲弊してしまう性格の犬もいます。」




「今は週3営業で、お客様と触れ合うことで社会化練習を積みながら里親を探し、残りの日は一番安心できる土浦の居場所で担当者と家庭犬になるトレーニングを行なっています。この子たちのためである、その目的を忘れないことを一番意識しています。」



今は2拠点を大切に、保護犬と若者を第一に考える、岡本さんの支援者としてのあたたかい目線を感じた。






さらなる支援のつながりへ


「ゆくゆくは、カフェとシェルターを同じ敷地にできること*が理想です。もう少し私たちの活動が大きくなり、保護できる頭数もふえれば、より多くの命を守ることができます。さらに、犬に負担をかけることなくカフェの営業日数を増やすことができ、そこで働く若者達の雇用も生み出せて、結果犬の譲渡もふやすことに繋がり、もっと地域に根ざした活動ができるかなと思います。」


*: 現在NPO法人キドックスさまは、シェルターとドッグランを併設した福祉施設「ヒューマンアニマルコミュニティセンターキドックス」の設立を計画し、2021年7月12日よりクラウドファンディングを実施されています。

後ろに映るのはスタッフ犬のせんじゅくん

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今回、岡本さんにお話を伺い改めて見えてきたのが、保護犬活動とは決して特定の存在を優遇するものではなく、取り組むことで解決へと進められる問題と向き合うものだということ。その問題解決にあたる1つの目標が「人と動物が共生する社会」なのだと思う。キドックスカフェの目指す垣根のないつながりは、譲渡やお見合い、カフェを訪れた人たちによってさらに広がっていくはずだ。




※本インタビュー記事は2020年11月11日発行のマガジン「OHINERI」に掲載した内容を、web公開にあたって加筆修正を行ったものです。



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